• 2005.06.21 Tuesday

女刑事 音道貴子「未練」

2月頃に購入して未読だった小説。
音道貴子シリーズの短編集第2弾。6作品収録。

・女刑事 音道貴子 未練 乃南アサ(新潮文庫)

音道貴子シリーズは作者が1996年に直木賞を受賞した「凍える牙
から始まって、短編集「花散る頃の殺人」長編小説「
そして今回の短編集「未練」で4作品目になる・・・のかな?

貴子は機動捜査隊という部署の女刑事です。
事件発生後、最も早く現場に入って捜査する部署です・・・確か。

そういえば「キソウの女」って高島礼子が主演の2時間サスペンス
があったっけなぁとちょっと思い出した(笑)

表題作「未練」は貴子行きつけのカレー店主人の話。
主人の家や店に嫌がらせに来る男・・・大きな事件にはならなかったので、
今後も貴子はおいしいカレーが食べられそう。良かったね(笑)
友達のおかまさん、安雲も登場。

立川古物商殺人事件」は大きな事件。
一家3人が殺されてタンスの引き出しに押し込められていた。
貴子は島本と言う中年刑事と組む事に・・・
夏の暑い時に10日間放置されていた死体だって・・・う〜
犯人が捕まらないまま終わりますが、気持ち悪い終わり方ではないです。

山背吹く」で貴子は長い休暇中。
友人が若女将をしている旅館に滞在中、覚せい剤常習者による
立てこもり事件が発生し、友人の息子が人質に・・・
前作「鎖」の後らしく、貴子が精神的に参っています。
「鎖」は貴子が人質になって一週間も監禁された事件の話で、
苦痛やら屈辱やら恐怖を味わい、警察を続けていく自信も
根こそぎ持ってかれたって感じだったんでしょうね・・・
実は「鎖」と言う作品がすごい好きなので、この短編の最後で
貴子を助ける為に頑張ってた人たちの事を思い出してくれて嬉しかった。
そして「結局自分は警察官なんだなぁ」と気付いた時の貴子が
暗いトンネルから脱出してスッキリしたって感じなのが良かった。

聖夜まで」は子供の犯罪や幼児虐待の話・・・
嫌な事件です・・・こういう事件には救いがないからイヤだな。
作品中の「どこで失敗しちゃったのかなぁ
と言う母親の呟きが印象に残りました。
貴子の恋人、昴一の存在が唯一の救いです・・・

よいお年を」は個人的に一番好き。
18ページくらいの超短編だけど、ホッとする作品でした。
親を見て貴子が感じた事にことごとく共感(笑)
変わらず元気な母親を見るのってホント嬉いですよね・・・
(逆に年取ったなぁと感じた時は悲しくなりますけど)
そして何より、男を投げ飛ばして取り押さえた貴子が格好良かった!
ステキ過ぎて、多分野次馬の中には惚れた人が居たはずだ。
っつーかオギは惚れたぞ(笑)
母親は「恥かしい」と言ってたけど、逆に自慢の娘だと思うけどなぁ・・・

殺人者」は唯一、貴子の話ではありません。
「未練」で組んだ島本刑事の話です。貴子もチラリと出てきますが・・・
このシリーズで貴子視点じゃない時の楽しみは
男社会の警察で、貴子が周囲からどんな風に見られているかを
垣間見れるところ。だとオギは思ってます。
島本刑事はどうやら気に入ってくれてるみたいで良かった。
我が事のように嬉しいですねぇ(笑)
・・・って言うか、貴子は中年受けが良い?

次は短編じゃなくて長編が読みたいです。

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長期間の放置から復活(?)
でも特撮と渡部秀の話しか
してない

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