• 2005.11.26 Saturday

ウルトラマンマックス(22)

第22話「胡蝶の夢」

不思議な作品でした・・・
実相寺監督ってカレースプーンで変身させた人なの?
「帝都物語」「姑獲鳥の夏」の監督かぁ・・・ナルホドね。

本日の主役、蓮沼(石橋蓮司)はマックスの脚本家。
パチンコ店の騒音が聞こえる部屋でシナリオを書きながら
文机に突っ伏して眠ってしまった様子。
部屋に舞う蝶々・・・流れる曲も「ちょうちょ」

蓮沼の夢の中、カイトがDASH司令室で眠っている。
カイトと蓮沼が交錯する映像の中、
「モンスタースキャナーに反応を確認」とエリーさんの声。
その声に目覚め、立ち上がる蓮沼。
「微弱な反応だな。誤作動かもしれん。
カイト、念のため調査に向かってくれ」と隊長の声。
蓮沼は自分の部屋とDASH司令室が繋がっている光景を目にする。
隊長の指示に返事をしないカイトをミズキが起こす。
カイトは「了解」と司令室を出て通路を歩く。
その目に映ったのは、部屋で机に突っ伏して寝ている蓮沼の後姿。
目を擦って、調査に向かうカイト。
そして調査に向かった先で、粘土で怪獣を作る女に出会う。

と、そこで蓮沼は覚醒。
『不可解な夢に、俺はもう何日も苛まれている。
自分がカイトと一体化する夢を見る。
そして、決まって現れる夢の女を、俺は知りたいと思った』
・・・とまぁ何とも不思議な始まり方。
棒付きの蝶々がヒラヒラと飛ぶのがニセ物っぽくて良い。

円谷プロダクションの会議室。
「なんだかこのカイトには覇気が感じられないんだよなぁ」
蓮沼の脚本を読んで監督の佐伯がボヤく。
「事件を思い付かなくてさ」と脚本同様に覇気のない蓮沼。
「単純で良いじゃないか。宇宙人でも怪獣でもいきなりやって来る。
理屈は後でどうにでもなるよ」と佐伯。
蓮沼は最近眠る度に怖いくらいリアルな夢を見るのだと佐伯に語る。
夢の中で蓮沼はカイトになって動いている。
「この世界の全ては、もしかしたら夢の産物じゃないかって・・・」
そんな蓮沼に「シナリオが夢の産物でも一向に構わないよ。
締切りを守って女を追って、夢の続きを早く届けてくれ」
と佐伯は仕事さえキチンとしてくれたら何でも良いと言う感じ。

電車通過の騒音が響く部屋で、蓮沼はシナリオを練っていた。
しかしすぐに万年床に倒れこみ、再び夢の世界へ・・・

粘土で怪獣を作る女に近付くカイト。
「あの、勝手に入ってすみません。DASHの者です」
カイトの顔が蓮沼の顔に変わる。
女は気にした様子もなく、一瞬振り向いただけで作業を続ける。
「この近辺で、怪獣出現の反応がありまして」
カイトと蓮沼の顔や声が入り乱れている。
女は間を置いて笑い出し「怪獣ならいますよ。私の頭の中に」
驚く蓮沼に女は、今もテレビ用の怪獣を製作中だと言って
その完成間近な怪獣を回して見せる。
ここは関係ないと判断して、立ち去ろうとするカイトを
怪獣退治の専門家に怪獣作りの相談に乗って欲しいと言って
女が強引に(不気味に)引き止める。
「あなたならきっと素晴らしい怪獣を生み出せるんじゃないかしら」
カイトはたじろぎながらも「その怪獣の名前は?」と女に問う。
女は「名前から発想しますか。天才 金城哲夫的ですねぇ」
と感心しつつ(鼻で笑ってる気もするが)名前を考える。
「デウス エクス マキナを文字って・・・魔デウスにしましょうか」

再び部屋で覚醒する蓮沼。
『デウス エクス マキナ 魔デウス』とメモ帳に覚書。
そして今見た夢をシナリオに起こし始める。

再び円谷プロの会議室。
佐伯が蓮沼の書いたシナリオの続きを読んでいる。
「面白くなってきたなぁ。怪獣退治の専門家に怪獣のアイデアを
訊くってのが、逆転の発想でおもしろいよ」
それでもこの脚本はまだ完成ではない。
「もうちょっと夢を見れば出来ると思う」と蓮沼。
そして「なぁ、デウス エクス マキナって何だ?」と質問。
「作家のくせにそんな事も知らないのか?」と佐伯は呆れつつ
『de-us ex ma-chi-na』は古代ギリシャ演劇に用いられた手法
『機械仕掛けの神』の事だと説明を始める。
「劇の内容が錯綜して、解決困難に陥った時に、
いきなり絶対的力を持つ神が現れて物語を収束させる。
そういう手法だよ。ま、怪獣モンのパターンでもあるな」
つまり、困った時の神(ヒーロー)頼みってヤツですね。

蓮沼は部屋に戻って思案する。
「その怪獣こそ、この物語を締めくくる『機械仕掛けの神』だとしたら・・・」
そして再び夢の中へ・・・

女は先程まで製作していた怪獣の腕などを全部取っ払い
ただの粘土の塊に戻しながらカイトに話しかける。
「私、全部破壊してしまいたいんです。この世界を」
作品中で怪獣は必ず倒される。
死ぬと決まった怪獣を日々作り続ける女。
「そんな怪獣に、一度で良いからこの世界を征服させてやりたいんです」
女の言葉を聞いて、カイトは怪獣をイメージし始める。
「退治する側から空想すれば、無機質でつかみ所のないモノが一番怖い。
感情移入の出来ないオブジェ。冷たい光・・・
そう、人類の様々な夢を餌にして強大化する」
女はカイトのイメージする魔デウスを粘土で形作る。
それは顔も胴体もない、ただの粘土の塊。
ゲル上の液体をかけ、更に不気味に仕上げて行く。
「人々が勝手に色々な夢を見すぎて、フォルムは抽象化して行くんです。
夢の極みは、魔デウスのフォルムです」
そうしてカイトの創造した怪獣・・・粘液に包まれた球体が完成。
無機質で感情移入出来ないオブジェ。
表情の読めない物。形から動きの予測が出来ない物は怖い。

蓮沼はノートパソコンにそこまで打ち込み
「よし、怪獣が出来たぞ」と満足げ。

球体の魔デウスと戦うマックスを想像しながら、
ひと段落とばかりに蓮沼はバーのカウンターで酒を飲んでいた。
ふと横を見ると、例の女にそっくりな女がカクテルを飲んでいる。
驚いた蓮沼は、思わず女に話しかける。
「あの・・・今夢の中で、あなたと瓜二つの女性と出会ったんです。
てっきりまだ夢の中にいるのかと思って・・・」
何だか下手な口説き文句みたいですよ?
「へぇ?私、あなたの夢の中では何してました?」女が問う。
蓮沼は席を女の方に詰め、真面目な顔で「怪獣作ってました」
「怪獣?」
「いや、夢の話ですから聞き流して下さい。
俺、テレビの脚本を書いてるんですが、最近上手く行かなくって」
女は初対面の男に突然そんな話をされても気にする事なく
「『胡蝶の夢』って寓話、ご存知ですか?」と話を振って来た。
蓮沼は「え?」と何の事かわからない様子。
「荘子は夢の中で、自分が蝶になって楽しく空を飛びまわる夢を見た。
しかし目が覚めると、自分は紛れもなく荘子であると気付いた。
ふと彼は思ったんです。自分が蝶になる夢を見ていたのか、それとも・・・
蝶が荘子になる夢を見ていたのか?現世の物は全てそのような、
儚い、移り変わりの中にいるのです」そう言ってニヤリと笑う女。

夢の中、蓮沼は蓮沼の姿のまま女の工房を訪れる。
女は完成した魔デウスに手をかざしていた。
息づき、蠢く魔デウスを見て蓮沼は驚く。
おかげで素晴らしい怪獣が生まれたと蓮沼に礼を言う女。
「夢の中で蝶でなく、あなたは怪獣にも変化するのよ」
女の不気味な笑みに蓮沼は腰を抜かしてしまう。
魔デウスは更に激しく蠢いている。
「素晴らしい想像力ね。あなたは夢で怪獣になり、
蝶のように飛び跳ねて、現実の世界を滅ぼすのよ!」
女の笑い声が響く。

布団の上で目覚める蓮沼。
「夢か・・・」
机上のノートパソコンを見ると、書きかけのシナリオは
「素晴らしい想像力ね。あなたは夢で怪獣になって、楽しく遊びまわって
蝶のように飛び跳ねて、現実の世界も滅ぼすのよ」
という女の台詞で終わっていた。
先程の夢とほぼ同じ内容のシナリオ。
蓮沼は眼鏡を外し「疲れてるんだ。そうだ」と自分に言い聞かせ
「もう夢は見たくない。夢は・・・」
そう言って部屋に落ちていた手鏡をふと手にする。
そして鏡を見ながら眠りに落ちて行く・・・

夢の中で、ミズキに呼ばれているカイト。
「何ボっとしてんの?」
「何か最近気力が湧かなくてさ」
「DASHの隊員が何言ってんの」
「変な夢を見たんだ」
「夢?」
「俺は夢の中ではDASHの隊員じゃなくて脚本家なんだ。
俺達の世界は、その男の描く空想の世界。
彼は物語の続きを書けなくて悩んでいる」
「ふーん?」
「リアルな夢だった。自分がDASHの隊員なのか、脚本家なのか
一瞬、わからなくなるくらい」
呆けたようなカイトの言葉にミズキは微笑み、
「まるで『胡蝶の夢』みたい」
「胡蝶の夢?」
「そう、あなたは、自分がウルトラマンマックスであるという
夢を見ているのかも知れない」
ミズキの顔があの女の顔に変わってカイトは驚愕し・・・

蓮沼の部屋で目が覚めたカイト。
「夢か・・・」
起き上がり、見慣れない部屋に戸惑う。
光の刺す方に近付くと、その部屋と司令室が繋がっている。
司令室にはカイトを除くDASH隊員が全員揃っている。
カイトは蓮沼の着ていた作務衣姿のまま司令室に駆け入る。
「隊長!」しかし時が止まったかのように誰も動かない。
「アハハハハ!イヒヒヒヒヒ!」
突然エリーさんが壊れたように笑い出した。
「エリー!・・・違う!誰だ!」
エリーさんの顔があの女に変わる。
「アハハハハ!見るが良い。現世の真理を!」
女は先程までカイトがいた蓮沼の部屋を顎で指し示す。
そこには机に突っ伏して眠っている蓮沼の後姿が見える。
「この世界。それは1人の作家が夢見る、1本の緻密なシナリオだ。
お前達は与えられた役柄を演じ、与えられた台詞を喋っている
チェスの駒に過ぎない」
「馬鹿な・・・じゃあ本当の俺は誰なんだ!」
不安に揺らぐカイトに女は追い討ちをかける。
「お前はお前であり、お前ではない」

ハッと文机の上で覚醒する蓮沼。
振り返っても司令室はない。ここは現実か・・・
「なんなんだ」蓮沼は目を覚まそうと顔を洗う。
そして鏡を見ると・・・そこに映ったのはカイトの顔。
驚いて壁にぶち当たり、何故か頭に金だらいが落ちて来る。
頭を抑えながら布団に倒れこむカイト。いや蓮沼?どっち?

闇の中、隊員服を着た蓮沼と女が向かい合う。
「どういう事だ!」
蓮沼は全てを知る女に説明を求める。
「お前とトウマ・カイトは自由に入れ替わり、夢で遊べるのだ。
胡蝶の夢・・・お前はウルトラマンマックスに乗り移ってしまうのよ!」
女がそう言って指を鳴らすと、ココが反応。
「さぁ、ここが現実だ」
雷と共に市街地に現れたのは・・・巨大化した魔デウス。
息づく巨大な魔デウス。蓮沼は驚愕して・・・

蓮沼の部屋で目覚めたカイト。
鏡を見ると・・・やはり自分(カイト)の顔。
理解しがたい状況に、蓮沼の文机の上を見る。
そこには1冊の台本が・・・
「21世紀版 空想科学特撮シリーズ ウルトラマンマックス」
カイトは驚きと共に表紙の文字を読み上げる。
あの女が言っていた通り、あの世界は空想の世界なのか?

カイトはノートパソコンに書かれた蓮沼のシナリオを読む。
「圧倒的な強さで、街を蹂躙する魔デウス。
ダッシュマザーが飛来。
ダッシュバード1と2が出撃して攻撃を加える。
しかしその攻撃を魔デウスはかわし、変形して蝶の如く飛び回る。
ダッシュバード1も2も撃墜され、不時着」

蓮沼のいる世界ではシナリオ通り事が進んでいた。
「俺の夢が・・・世界を滅ぼす」
この状況を生み出したのは自分なのだと蓮沼は絶望する。

蓮沼のシナリオを読んで事態を理解したカイトは
蓮沼に語り掛けるべく、ノートパソコンに台詞を打ち込む。
「蓮沼さん、マックススパークを!」
どこからか聞こえるカイトの言葉に、蓮沼は反応。
「あなたは入れ替わって俺になってるんだ!」
「俺が?」
「変身するんだ!マックスに!変身するんだ!」
「いや、そんな馬鹿な。これは夢だ」
蓮沼は自分が変身するなんて無理だと思っているのか、それとも
現実を直視できていないだけなのか、変身しようとしない。
カイトは必死に呼びかける。
「蓮沼さん!」
「俺は物書きなんだよ!」
「俺が最後に、マックスが勝利するシナリオを完成させるから!」
そう言いながらカイトは蓮沼が行動を起こすシナリオを書き始める。
『蓮沼、恐る恐るマックススパークを腕に-』
蓮沼はその通り行動し、ウルトラマンマックスに変身した。
『魔デウスに立ち向かう』
マクシウムカノンは弾き返された。
球体に戻った魔デウスに体当たりされて倒れるマックス。
倒れたマックスの上で何度も跳ねる魔デウス。
そして球体が割れ、中に取り込まれてしまうマックス。
しかしマックスは内部で苦しみながらもエネルギーを放出し、
内側から魔デウスを破壊するのだった。

円谷プロ会議室。
完成したシナリオを読む佐伯。
「なるほどー。切羽詰ってカイトのマックスが自分と入れ替わる訳か」
蓮沼は晴れ晴れとした表情で佐伯の反応を見ている。
「あぁ、なーるほど。おもしろい」
それを聞いて安心したのか、蓮沼はその場で眠ってしまう。
すると蓮沼の夢の中に再び魔デウスが出現。
それだけでなく、現実の世界も大きく揺れている。
「おい!こいつに怪獣の夢を見させちゃヤバイんだ!
蓮沼!起きろ!蓮沼!起きてくれ!おい!怪獣の夢を見るな!」
佐伯が必死に叫び、他のスタッフも蓮沼を揺する。
蓮沼が起きると地震は止まる。・・・どうなってるんだ。
会議室に飛ぶ棒付きの蝶を見て「ちょうちょ」と呟く蓮沼を
佐伯がポカンと眺めていると、会議室に誰かが入ってくる。
「監督ー!台本出来ましたか?もう発注ギリギリなんですけどぉ!」
それは夢の中で怪獣を作っていた女。
驚愕する蓮沼に女は振り返り、ニヤリ。・・・で終了。
最後までこの女のニヤリ笑いが怖い(笑)

カイトと蓮沼の夢と現実がごっちゃになって
文章にすると更にややこしくなってしまった・・・
しかし、どの世界が蓮沼にとっての現実だったのか?
会議室で眠った時の地震は何?
佐伯監督はそれによって生じる異変を知っていた様子。
つまり本人は気付いてないけどコレは日常茶飯事。
こんな世界を現実と言えるのか?
・・・深く考え出すと怖くなるからヤメよ(笑)
内容的には「マトリックス」「ドラえもん」のガセ最終回、
あと「ループ」(小説)辺りをほんのり思い出したけど、
映像的には江戸川乱歩の世界っぽいなぁって思った。

最初の円谷プロダクションの会議室のシーンで
後ろのホワイトボードに「マックス新必殺技案」って・・・
どれもふざけてるとしか思えないネーミングで笑った。
マックスマジック、マックスモンゴリア、マックスレインボー
マックススタンプ(グ?)、マックスマシンガンの計5案。
決定案は「怪獣の動きを一瞬止める」マックスマジックらしい。
でも個人的にはマックスモンゴリアのが好きだなぁ(笑)
「飛び込みながらの両手チョップ」・・・ソレ必殺技になるのか?

今日のサントラ曲は延々「ちょうちょ」・・・
歌バージョン、ピアノバージョン、ジャズピアノバージョン
とまぁいつものDASHを連想させる曲は徹底排除。
でも今日の放送ってお子様的にはどう映ったんだろう?
「金城哲夫的」なんて言われても大人でもわかんない人いるぞ?
「デウス エクス マキナ」の説明も子供に優しくないし。
まぁ自分は面白かったから全然問題ないけどね?

石橋蓮司のDASH隊員服はなかなか可愛かったなぁ。
もの凄く弱っちい感じの着こなし・・・流石(笑)

何だか今回の話は雰囲気を楽しんだ方が良いような気がしたので
極力ツッコミを控えてみた。入れようがなかったとも言う(笑)

来週はまた旧シリーズの隊員が出てくる気配・・・
長官とカイトが極秘任務って一体どういう人選だよ(笑)

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長期間の放置から復活(?)
でも特撮と渡部秀の話しか
してない

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